珈琲サイフオン社(工場・豆売り)

1.
きょうは巣鴨の珈琲サイフオン㈱に行って、初めて「コットンペーパー」を買ってきました。

珈琲サイフオン社の場所は、
巣鴨のとげ抜き地蔵のJRをはさんでちょうど反対側です。
白山通りから数えて、平行な路地の2本目に
珈琲サイフオン社はあります。

こことの出会いは、たまたまで、
以前(といっても10年ほど前)千石という所に住んでいまして、
そこから巣鴨の駅に行く途中に、怪しげな焙煎工場があった、
という程度のものでした。

怪しげなと言うのは、そこは、工場と言うには余りふさわしくない、古ぼけた二階建ての、路地際ぎりぎりに建っている、ただの民家だったからです。
ただの民家と大きく違うのは、表に銀色の高い煙突が7本も、二階屋根よりも高く突き出し、並んで壁にへばりついている様子が珍しいことです。
それから道ばたにチャフの詰まったザルなどが置いてあるときもありました。
時々、焙煎の良い香りがするときもあります。
小さな入り口に作った無理矢理な場所で、焙煎豆も売っているようです。

そのころ、いつもは新宿のヤマモトコーヒーから生豆を買っていたのですが。
あるとき思い立って、
その謎の焙煎工場から買ってみようとして、出かけたのでした。

『あのー、生豆が欲しいんですけど。分けてもらえますか?』と近くの人に聞くと、
『ああそれは社長だ。』『シャチョー!!シャチョー!!』と呼んでいます。

出てきた人は、ニコニコ笑顔の(いや、目が細くて垂れていただけかも知れませんが)
小柄なおじさんでした。
『どんな豆が良いんだ? どおやって焼いているんだ?』と聞いてくると
その辺に転がっている麻袋の一つ一つをあれこれ自慢げに説明してくれます。
うちは良い豆を使っているんだ。と。
それから焙煎機も奥にあるのまで1台1台説明してくれるので、とても感激しました。
とんきちは、そのとき初めて、「プロバット」を見ることができたのでした。
狭い工場民家の中には、鴨居も敷居もぶち抜きで、
熱風も、直火も、あらゆるタイプの焙煎機が所狭しと並んでいるのでした。

オヤジさん曰く
自家焙煎と言ってる喫茶店は趣味に走り過ぎである。
お客さんの欲しい物を作るのが本当の商売である。
自家焙煎の店があれこれ焙煎について行っているが
たった一台の小さな焙煎機の経験で言っているだけで、
あらゆる物をやっているのではないから意見が偏るのではないか?
よく蒸らしとか言うがそんな物はありはしないのだ。
うちはドラムの回転数を調整して焼き加減を作っている。
コンピューターで回転速度を制御しているのだ。

などなど、十年経っても覚えています。
強烈な印象の社長さんでした。

その人が「コーノ式」で有名な、河野さんだと知ったのはつい最近、
コーノ式が流行りだしてからですから、三四年前のことです。
最初は、あの工場と、おしゃれなコーノドリッパーが結びつかなくて、
名前も「サイフオン社」ですから、ドリップとは結びつかなくて。
ビックリするやら、驚くやら。

珈琲サイフオン㈱のホームページを見ますと
河野社長が、焙煎講習会を開くなどして一生懸命若者を育てている様子が分かります。
講習用の簡易焙煎機も開発されているようです。
珈琲サイフオン社が、歴史の古い、まさに「名門」であることもわかります。
先代の社長もお元気で現役だとも書いてありました。
今は飛ぶ鳥を落とす勢いの「コーノ式」を発明したのは、
この先代の社長のようです。

さて、今日はその珈琲サイフオン社に、新製品である「コットンペーパー」をやっとこさ買いにいったのでした。
(買うならここでと決めていたのです。)

2.
実は、ここまでが前置き。

買いにいった裏路地の、無理矢理な玄関を入ると、
中はただならぬ雰囲気なのでした。
片付けられた工場の一角に、折りたたみのいすがきれいに何列にも並べられ
そこには誰も座っていないで、前の方に30人ぐらいの人垣ができています。
ピンと来ました。講習会です。
やってます。
講習会はカリスマしかやっちゃあいけません。
田口さんと、堀口さんと、ワニさんと、、、、
河野さんもその一人なんですね。
盛り上がっています。

「アドバイザー」の肩書きの名札をさげた、20代前半くらいの若者が10人くらい
珈琲を入れたカップを配ったりみんな一生懸命アシストしています。
多分いつもの講習会の生徒さんなのでしょう。
良い生徒さんがたくさんいます。

今日はなんとコーノさんのお父さん
御大みずから講釈しながら珈琲を入れています。
年の頃ならランブルの関口さんよりちょっと若いくらいでしょうか?
大振りな黒ぶち眼鏡がよく似合います。
とんきちがいったときにはペーパーの抽出は終わっていて
今度はネルが始まったときでした。

とんきちは講習を予約した訳ではないのですが、
スタッフに断って後ろの方で聞かせてもらいました。
最後は御大のコーヒーも味見させていただきました。
ラッキー!!

10人分くらい一緒に抽出するのですが。
ビックリしたこと。

ランブルポットを使って入れているのに、湯の線は、野太く、いい加減です。
自分でも言っていました。『いい加減だろ。慣れは怖いよな。』と

それから、コーヒーはネルが一番だと。
サイフォン社にしてコーノ式の発明者が言っておりました。
ネルが一番だと。

それから、隣に湯を入れた透明なガラスのサーバーがあったんですが。
一通り抽出が終了して、どうするか見ていると
入れましたね。透明な湯を。
今抽出が終わったばかりのサーバーに、
隣に準備してあったお湯を、ザアーっと、やおら継ぎ足しました。
3割から4割コーヒー液が増量したでしょうか。
ランブルの関口さんが見たら、白目を剥いてぶっ倒れるかもしれません。
とんきちは「松屋式」の抽出で実験済み、とはいえ
目の前でドバーット加える透明なお湯を見ると
ホントにビックリします。

味見させていただいたコーヒーは、
煎りの深いコーヒーをネルであっさり入れた物ですから
柔らかいけどすっきりしている、
甘さと、さわやかな苦みのコーヒーなのでした。

つぎにサイホンコーヒーの講釈が始まる所でしたが
余り興味がないので帰ってまいりました。

3.
家に帰ってきて早速『コットンペーパー』でいれてみました。
少しもったりした感じですね。
ネルは、すーっと湯が通り抜ける物です。
普通のペーパーより、もっと通りのよいものを想像していました。
実際は逆なような気がします。
いれ方をコットンペーパー用に考えなければ使えないなあ。
と思いました。
やはり御大のおっしゃる通り
ネルが最高なんでしょうか。

追伸
御大は、ネルの起毛は、外だと言っていました。理由が面白いです。
起毛が内だと、粉がからまって掃除しにくいから。
無理して掃除すると、起毛が抜けて早くネルが傷んでしまうと言っていました。
もっとすごい理由を期待していたんですが、あっけらかんと言っていました。
by tonnkiti2002 | 2005-10-22 22:07 | お店 | Comments(16)
Commented by ロデム at 2005-10-22 22:37 x
はじめまして、ロデムといいます。
sheafさんのところから飛んできました。
このエントリーを含めて面白いお話ばかりで(とくに、ダフニのお話やコーノ会長のお話は興味深いです)これからも楽しみにしております。

もしご迷惑でなければリンクさせて頂いてもよろしいでしょうか?
それではこれからもよろしくお願いします。
Commented by tonnkiti2002 at 2005-10-22 22:51
ロデムさん
あなたが初めてのお客さんです。お返事いただいて感激しています。
ばんばんリンクしてください。これからもよろしくお願いします。
Commented by ロデム at 2005-10-22 23:37 x
ありがとうございます!、さっそくリンクしました。
ぼくは毎日ネルで淹てています。
コーノ御大が仰るのだからやっぱり、ネルが一番なのでしょうか?

コーノ、ネル、といえば、先日コーノのネルドリップセットを買ったのですが、サーバーはかっこ良いのにネルの枠がアルミ製で安っぽいのでステンレスの針金を曲げて同じようなものを作っていまいました。
Commented by tonnkiti2002 at 2005-10-22 23:52
ロデムさん
そうです、ネルが一番です。笑っちゃいますよね。
ボクもかっこいいのが好きだなあ。ステンは曲げにくいけど、かっこいいです。
Commented by tonnkiti2002 at 2005-10-22 23:59
ロデムさん
ロデムさんの所もリンクさせてください。
でもリンクの仕方がわからずただいま調べ中です。よろしく。
Commented by ロデム at 2005-10-23 00:29 x
どうぞどうぞリンクしてください。

でも、、「ネルが一番」ホント笑っちゃいますね。
Commented by sheaf at 2005-10-23 05:15
コーヒーレポート「河野編」とても参考になりました!ううむ、河野さん自ら「ネルが一番」と仰られているのですか…!お湯を加える話も、やはりインパクトありますよね。

僕はコットンペーパーとスリーフォーのものを折って使っているんですが(新製品の円錐フィルタも同じところが作っていた、と思います。それも買いました)、お湯の抜けはスリーフォーの方が良い気がしています。ただ、常用するのは自然とコットンの方になってしまうのですが…。

もし宜しければこちらもリンクさせて頂けないでしょうか?
Commented by tonnkiti2002 at 2005-10-23 08:20
ぜひリンクして下さい。本当にお願いします。
どこかでノンタンさんも行っていましたが、モノクロ珈琲を見てとても刺激を受けております。コーヒーに対するやる気がグーンとアップしました。日々進歩するsheafさんの様子をいつも感心しながら見ております。
また、おかげさまで、このようなページも作ることができ本当に感謝です。
リンクは光栄です。おねがいですから、こちらからもリンクさせて下さい。

コットンペーパーについてですが、
コットンペーパーがだめな訳ではなく、それにあった入れ方と言いますか、それにあったコーヒーがあるのではないでしょうか。
どこまで行っても正解のない世界ですから。みんな手探りですよね。
これからもよろしくお願いします。
Commented by kick at 2005-10-23 16:49 x
はじめまして、モノクロ珈琲さん・ロデムさんのところから来ました。
私も抽出方法はいろいろやってみましたが、やはりネルかな。普段はカリタとコーヒーメーカーを使っています。私は豆の販売をしているので、一番使用率(普及率)の高いコーヒーメーカーで味見します。しっかり焼けば何で淹れても美味しくなります。
でも気合を入れて飲むときは、ネルです。

Linkお願いします。
Commented by tonnkiti2002 at 2005-10-23 19:07
kickさん
リンクの申し出ありがとうございます。ぜひよろしくお願いします。
新しいページはツジモさんが作ったんですね。ツジモさんのページもいつも参考にさせてもらっています。独立したんですよね。ツジモさん。
実はとんきちは岩手県一関市の出身です。コーヒーもジャズもその町で覚えました。コーヒーと言えばあそこ。ジャズと言えばあそこ。ですよね。
Kickさんの写真。青い空。広い田んぼ。秋の空気が懐かしいです。
コーヒーメーカーでテストなんてさすがプロです。
これからのますますの盛業をお祈りいたします。
こちらからもリンクさせて下さい。よろしくお願いいたします。
Commented by kick at 2005-10-24 07:06 x
ずっと昔のその昔、一関に住んでいたことがあります。まだ、JazzのあそこもCoffeeのあそこも、開店していない遠い昔です。街のはずれにある学校に行ってました。途中でやめたのですが、約3年ほど住んでいました。
tujimoさんといえば、以前使っていた焙煎機が、売りに出ていたのをご存知でしたか。私の知り合いに(一応私が師匠ということになっています。(笑))買うように勧め、彼が手に入れました。Blogが面白いから、見に来るように言ってますのでそのうち来るかもしれません。先日、その焙煎機を持って遊びに来ましたが、良くできています。行って、焙煎機で遊んでこようと思っています。
Commented by tonnkiti2002 at 2005-10-24 10:00
kickさん
手で回すやつでしょうか。写真で見ました。面白そうですね。意外なところにながれていくものです。
Commented by ロデム at 2005-10-29 23:36 x
トンキチさんの行かれたこの日は、「河野敏夫 “わが珈琲人生を語る”」と銘打たれた特別セミナーが開かれていたようですね。
ツイてましたねー。
ぼくも行きたかったな。

オヤジさんは ”会長”で息子さんは ”塾長”だそうです。(微笑)
Commented by tonnkiti2002 at 2005-10-30 08:40
知らなかった。人生を語っていたとは、、、

(さすがロデムさん情報早いっすね。載ってました。コーノのホームページに。会長さんが珈琲入れてる写真。ほんと偶然とは言えついてました。)
Commented by shunguu at 2005-11-18 00:12 x
とんきちさん、皆さま、はじめまして。
実はわたくし、この日裏方をやっておりました、コーノの手の者です。
この日のセミナーを受けた方に、どうも“お湯足し”についての誤解があったようですので、誤解のなきよう補足でご説明させていただきます。
実は10人用の抽出の場合、抽出時間が掛かりすぎて過剰抽出となるため、あえてお湯でコーヒーの濃度を引き伸ばしております。(この日の河野会長は説明しておりませんが、そういった理由だと以前に伺いました)
2人、4人の抽出でお湯を足すと、そのまま抽出したものよりも明らかに薄っぺらい味になりますので、“大量抽出の時のみの方法”としてご理解ください。

とんきちさん、あの後のサイフォンの講義も面白かったですよ。
また、珈琲人生についても、しっかりと語っていただきました。
次はもうやらなさそうですが、会長にまたやっていただけるよう、お願いしてみます。

[追伸]
コーノのアドバイザーは一見若く見えますが、全員30歳超えてます。(笑)
Commented by tonnkiti2002 at 2005-11-18 22:41
shunguuさん
はじめまして。とんきちです。
当日、予約もせず勝手に上がりこみまして、大変失礼いたしました。
また、それをお許しいただきました、スタッフの方に感謝いたします。
ありがとうございました。
会場の雰囲気や皆さんの働きぶりから、非常に熱心に珈琲に取り組まれていることを肌でかんじさせていただき、とても感心しました。
河野社長もさぞ心強かろうと思われます。

補足の説明、了解です。「過抽出をおぎなう為の、大量抽出時のみの方法」なのですね。
(実際飲んで見て何の問題も感じませんでした。)
河野会長の人生を聞き逃したのは、不覚です。残念です。
又やっていただけるようぜひお願いいたします。(今度は予約しますから)
皆さんが30過ぎとは、、、。不覚です。びっくりです。
これからも何度かお邪魔すると思います。今後ともよろしくお願いいたします。
会長さんもいつまでもおげんきで。


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